ご挨拶・青枢会 我々は何処へ向かうのか


  1975年に青枢会は創立され、幾多の困難を乗り越えながら発表を続けてまいりました。
その不断の活動の原動力は、多くの画家達の夢と情熱、そして共に切磋琢磨しあう仲間の存在であったろうと思います。
仲間がいるから頑張れる、競い合えるライバルの存在こそが、目標をより高いものにしてきたのではないでしょうか。
そんな美術学校の学生同士のような、激しくも幸福な時はいつしか去り、時代は移り変わってきました。

集合離散を繰り返し、群雄割拠の時代も過去のものとなり、多様化する時代の中で若者の価値観は我々のそれとはまるで
異なるものとなったようにも感じます。
若者のアートな志向性はデジタル表現に向かい、美術の価値観も変わろうとしています。

しかしそんな時代であればこそ、捨ててはいけないもの、伝えていかなければいけない精神と技術があると思います。
志向性が変化しても、美しいものを感じる感性が違う訳ではありません。
新しい技術は受け継がれて来た土台の上に積み重なるように、我々は培ってきた技術・精神・場を共有しながら門戸を
広げ、新しい仲間を受け入れ、共に学びながら活動していくことを確認しあってきました。

伝統に固執せず、新しさを吸収しつつもそれに振り回されない、地に足の着いた製作を続けていくこと。
価値観の異なるものを排除するのではなく、謙虚な姿勢と認め合う精神で幅の広い表現領域を持ち、引きこもりがちな
創作活動を会員相互のコミュニケーションで活性化していく会であること。
基本的姿勢として、青枢会はこのような方向で展覧会を開催してきました。


  大震災や原発問題など未曾有の危機に瀕した時代に、絵画団体がどうあるべきか。
これは前述の会の姿勢に新たに加わった命題です。
しかしながら、会が社会に向かって発言するのは何かではなく、個々の作家の問題と捉えれば、既に作品テーマに
変化が生まれています。
これからその表現がどう変わっていくのか、どんなメッセージとして育って行くのか、見守っていきたいと思います。

激変する環境の中で、我々はどのように製作し、発表していくべきなのか。
青枢会創立の頃の、「実験としての展覧会」という考え方はこれからも続いていきます。
実験工房は常に人材募集状態です。
我こそはという方に、門戸を開けて青枢会は待っております。

青枢会会長・米谷和明


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